広島県作業療法士会
社団法人 広島県作業療法士会
生活行為向上マネジメント
生活行為向上マネジメント
cManagement Tool for Daily Life Performance
『生活行為向上マネジメント～MTDLP～』（広報部）
「生活行為向上マネジメント～MTDLP～」を一般の皆様に広く知っていただくためのムービーです
この動画は、MTDLPを多くのみなさまに印象付けるため、詳しいマネジメント内容の紹介は省き、
わかりやすくMTDLPのイメージを伝える目的で作成されました。
視聴を通して、一般の皆様や多職種の皆様がMTDLPを知るきっかけとなり、
また、MTDLPを使ったことのない作業療法士へもMTDLPに関心を持つきっかけになることを期待しています。
また、MTDLPに関心を持った作業療法士(多職種)が、ムービーのサムネイル情報から
生活行為向上マネジメントに関連するホームページのURLに入れる様に作っています。
県士会の皆様もぜひご視聴いただき、MTDLPを広く紹介していただくツールとして活用していただければと思います。
- ■生活行為向上マネジメントについて （会報181号より）
■生活行為向上マネジメント その２ （会報182号より）
■生活行為向上マネジメント その４ （会報184号より）
■生活行為向上マネジメント その５ （会報185号より）
■生活行為向上マネジメント その６ （会報186号より）
■生活行為向上マネジメント 最終回 （会報187号より）
- ■生活行為向上マネジメント その３ （会報183号より）
副会長（安芸地区医師会居宅介護支援事業所） 望月マリ子
７月２９日に開催されました生活行為向上マネジメント大規模研修会にご参加くださった皆さま、ありがとうございました。
その後、実際に使ってみられているでしょうか？利用者に実際使ってみて、はじめて気付くことも多々あるかと思います。
臨床で使ってみてうまくいった点やうまくできなかった点について、秋に開催予定の小規模研修でそれぞれの事例を通して共有していきましょう。
では、今回はそれぞれのシートの使い方について解説したいと思います。 - １． 作業聞き取りシートの使い方
皆さん自身の生活も振り返ってみると、自分の興味のある作業をすることや、また、しなくてはならない作業をすることで成り立っていると思います。そしてその作業は人それぞれ違っています。
利用者にとっても生活する上で、その人にとって“意味のある”作業はそれぞれ異なっています。
「利用者にとって意味のある作業が何なのか」を作業療法士が聞き出し焦点を当てていきます。
①本人が重要だと思う生活の目標を１～３程度聞き出す。
作業療法士：「あなたがやってみたいと思っている、またはもっとうまくできるようになりたい
と思う事柄はありませんか？３つほど教えてください。」
「あなたが困っている、問題を感じている事柄で、よくなりたい、改善したい
と思う事柄があれば３つほど教えてください。」
※ 聞き取るときに趣味的な作業だけでなく、それを遂行する上で求められるＡＤＬやＩＡＤＬなど
生活をする上での基本項目についても確認してください。
・シートの左の目標の部分に記入していく。
もし本人が自分で内容を理解し記入できるようであれば、本人に記入してもらう
・目標欄にはできるだけ具体的な作業を記す。
本人の述べた内容が漠然としていたり、基本的な動作であった場合は、
それができるようになって、何がしたいと思うのか、具体的な作業に繋がるように質問する
例：「歩けるようになりたい」→「歩けるようになって近所の友達の家を訪ねたい」
② ①で聞き取った各目標ごとに、
今どの程度実行できているのか‥（実行度）
その実行度に対してどの程度満足しているのか‥（満足度）
を、それぞれ１０点満点で自己評価してもらう。
とてもうまくできている場合は実行度は １０点
全くできていない場合は実行度は １点
とても満足している場合は満足度は １０点
全く不満である場合は満足度は １点作業療法士：「左の目標について、どの程度実行できていると思いますか？
十分できている場合を実行度１０点、全くできていない場合は１点です。」
「左の目標について，どの程度満足にできていると思いますか？
とても満足している場合は満足度１０点、全く不満である場合は１点です。」・右の自己評価欄に記載する
・点数については目安なので本人の思っている数字を言ってもらう
③ 次に①であげた目標についての達成の可能性があるかどうかを
本人に自己評価してもらう。
それを達成の可能性の蘭にチェックをいれる。
※この行程で大切なことは、あくまでも本人にとって意味のある作業に焦点をあてることです。
作業療法士は聞き役に徹し、本人が作業についてイメージしやすいように聞き取りをしてください。
また、本人が口にした作業について、作業療法士自身が否定的な態度を取ったりしないようにしてください。
例えば、今現在の身体機能ではとても実行できそうにない作業を「したい」と言われたとき、
「それは無理でしょう」と否定するのではなく、なぜその作業をしたいと思うのか、
それはどのように遂行すれば本人ができたと思えるのかを探っていきます。
作業療法士自身が勝手に作業の遂行方法を決めつけて、そのやり方では到底目標達成できないと考え、
目標の変更を提案するのではなく、どのように遂行することが、本人にとっての目標達成になるのか
ということを具体的にしていくことで、十分目標となりうる作業が多くあると思います。
- ２．興味・関心チェックリスト（サブシー ト）
上記の「作業聞き取りシート」で意味のある作業を聞き取る際に、
利用者が生活の目標を述べることができない場合にサブシート として活用します。
このシートを活用する ことで、漠然とした本人が望む作業について的を絞ることができることがあります。
ＡＤＬやＩＡＤＬについて基本項目として聞き取るようにしてみましょう。
① 本人が好きな趣味・役割、またはしたいと思っていることを
「興味・関心チェックリスト」の各項目について聞き取り、
チェックする。
作業療法士：リストを示しながら
「これらの作業について、現在しているものには 「している」、
過去にしていたがしてみたい・してみたいができないと思って
していないものに「してみたい」、
する・しないに関わらず興味があるものに「興味がある」
に○をつけてください。」
② チェックがあった項目について、いつ・どこで・誰と・
どんなふうに・どの程度 「しているのか」「してみたい」のか
を確認する。
・興味があると回答のあった項目については、
どのように興味があるのか、
どのような条件であれば実施するのか確認する。
・空欄に記載する。
③ 回答のあった項目をもとに、作業聞き取りシートの目標を
本人とともに決定し、
実行度、満足度、達成の可能性の有無を記入する。
利用者さんの中には、「したいと思って いる作業がない」といった回答をされる方もおられます。
また、具体的な作業が思い浮かばず、「今のままでいいです」といわれる方もおられます。
この興味・関心チェックリストのように、具体的な作業リストを提示することで、作業をイメージしやすくなることもあると思います。
「そういえば、こんなことしたいと思っていた、昔こんなことをやっていた、今もできるだろうか」といった作業の発見の手助けになるように使ってみてください。
- 次回、引き続きシートの説明を行います。
本人にとって意味のある作業を聞き出し、目標を設定したので，これから目標を達成するために何をするのかを利用者さんと決めて実際に行っていきます。
- 引用文献：岩瀬義昭 大庭潤平 村井千賀 吉川ひろみ編
“作業”の捉え方と評価・支援技術～生活行為の自律に向けたマネジメント～
医歯薬出版、2011．
＜関連URL紹介＞
■生活行為向上マネジメント一式 （日本作業療法士協会HPより）
＜関連図書紹介＞
■“作業”の捉え方と評価・支援技術
―生活行為の自律に向けたマネジメント
日本作業療法士協会 (著), 岩瀬 義昭 (編集), 村井 千賀 (編集), 吉川 ひろみ (編集), 大庭 潤平 (編集)
■事例で学ぶ生活行為向上マネジメント 単行本
日本作業療法士協会 (著)
- ■生活行為向上マネジメントについて （会報181号より）
■生活行為向上マネジメント その２ （会報182号より）
■生活行為向上マネジメント その４ （会報184号より）
■生活行為向上マネジメント その５ （会報185号より）
■生活行為向上マネジメント その６ （会報186号より）
■生活行為向上マネジメント 最終回 （会報187号より）
