広島県作業療法士会
社団法人 広島県作業療法士会
生活行為向上マネジメント
生活行為向上マネジメント
cManagement Tool for Daily Life Performance
『生活行為向上マネジメント～MTDLP～』（広報部）
「生活行為向上マネジメント～MTDLP～」を一般の皆様に広く知っていただくためのムービーです
この動画は、MTDLPを多くのみなさまに印象付けるため、詳しいマネジメント内容の紹介は省き、
わかりやすくMTDLPのイメージを伝える目的で作成されました。
視聴を通して、一般の皆様や多職種の皆様がMTDLPを知るきっかけとなり、
また、MTDLPを使ったことのない作業療法士へもMTDLPに関心を持つきっかけになることを期待しています。
また、MTDLPに関心を持った作業療法士(多職種)が、ムービーのサムネイル情報から
生活行為向上マネジメントに関連するホームページのURLに入れる様に作っています。
県士会の皆様もぜひご視聴いただき、MTDLPを広く紹介していただくツールとして活用していただければと思います。
- ■生活行為向上マネジメント その２ （会報182号より）
■生活行為向上マネジメント その３ （会報183号より）
■生活行為向上マネジメント その４ （会報184号より）
■生活行為向上マネジメント その５ （会報185号より）
■生活行為向上マネジメント その６ （会報186号より）
■生活行為向上マネジメント 最終回 （会報187号より）
- ■生活行為向上マネジメントについて （会報181号より）
副会長（安芸地区医師会居宅介護支援事業所） 望月マリ子
みなさんは「生活行為向上マネジメント」という言葉を耳にしたことがありますか？
私はこの度、平成２４年２月１８・１９日に東京で行われた日本作業療法士協会主催の「生活行為向上マネジメント＆プログラム啓発普及説明会」に広島県士会を代表して参加してきました。この説明会に各県から参加したメンバーは、それぞれの県で生活行為向上マネジメントの啓発普及を図ることになっています。研修会等は今後行いますが、県士会報の誌面でも生活行為向上マネジメントについてお知らせしていこうと思います。
私自身も、１回説明を聞いただけですので、全て理解しているかというとそんなことはありません。スタートラインが少し早いだけですので、えらそうなことは書けませんので、説明会の内容とテキストの内容をダイジェストにして、書かせていただきます。
- この生活行為向上マネジメントを語る上で、まず押さえていただきたいのは、世界の作業療法の流れについてです。今世界の作業療法は、作業に焦点をあてたクライエント中心の作業療法に向かっています。
世界作業療法士連盟（ＷＦＯＴ）は２００４年に、作業療法を以下のように定義しています。 - 『作業療法は、作業を通して健康と安寧を促進することに関心をもつ専門職である。
作業療法の基本目標は、人々が日常の活動に参加することができるようにすることである。
作業療法士は、参加するための能力を強化したり、参加をよりうまくサポートするような環境を整備したりするようなことを、人々が行えるようにすることによって成果を出す。
作業療法士は、健康状態によって心身機能や構造の障害をもっていて参加の際に障壁を経験している個人や集団と協働して取り組むための技能や知識を備えるよう広い教育を受けている。
作業療法士は、参加は物理的問題や社会の態度や制度といった環境によって、促進されることもあるし制約されることもあると思っている。それゆえ作業療法実践は、参加を広げていくための環境の側面を変えることに向けられるかもしれない。
作業療法は広く様々な状況で実践される。そこには、病院、保健センター、家庭、職場、学校、矯正施設、高齢者居住施設が含まれる。クライエントは治療過程に積極的にかかわる。そして、作業療法の成果は、多様であり、クライエントが決め、参加という点や参加がもたらす満足という点において測定される。』 - この内容をふまえて、生活行為向上マネジメントについて考え、実践していくことが必要になると考えます。 日本作業療法士協会も生活行為向上マネジメントを通じて、人にとって意味のある作業に焦点をあてる作業療法実践を推進していこうとしています。
以下は説明会内容、テキスト（テキストについては後述）の抜粋です。 - ※詳細について学びたい人は
■生活行為向上マネジメント一式 （日本作業療法士協会HPより）
＊生活行為向上マネジメント開発の経緯
１）国民にわかりやすい作業療法キットの作成
日本作業療法士協会では、平成１９年・２０年度に国に向けて、高齢者の活動性を高めるための作業療法士の役割について提案を行いました。当時の厚生労働省の担当者から、国民に作業療法をわかりやすく示すためのキットの必要性を提案され、老人保健健康増進事業に着手しました。
２）３年間の老人保健健康事業の取り組み
そこで平成２０年度に「人は作業をすることで健康になれる」をテーマに高齢者が生活するうえで重要な意味のある活動（以下、作業）を見つけ、高齢者の有する能力をアセスメントし、自立を支援する生活行為向上マネジメント方法を開発しました。
平成２１・２２年度は、そのマネジメントを実際に臨床場面で使って効果の検証と、地域活動への展開の可能性を探りました。この結果、生活行為向上マネジメントは、高齢者が生活行為や余暇活動などの作業を主体的・積極的に展開するようになるという効果を得、医療から介護、在宅へ継続した包括的支援ツールとして活用できることがわかりました。
３）テキストの作成
日本作業療法士協会では、以上の取り組みの結果を１冊のテキストにしています。
このテキストは、作業療法士が人の作業に焦点をあてることができるようになり、その人の生活行為を向上させるための考え方を身につけ、その方法を示した「生活行為向上マネジメント」を実践できるようにするためのものです。
今後、生活行為向上マネジメントの具体的な内容について、シリーズで掲載していこうと思いますので、ぜひこの誌面だけでなく、自らテキストを読み学び、臨床場面で取り組んでみていただきたいと思います。- ＊この度の介護報酬改定における
生活機能向上連携加算と生活行為向上マネジメントについて
（※この記事は2012年に掲載された記事です。現在の算定要項とは異なりますのでご注意ください。）
１）生活機能向上連携加算とは
この度の介護報酬改定におけるトピックの一つに、生活機能向上連携加算があります。
訪問リハビリテーション事業所で働かれている方はよくご存じだと思いますが、「利用者の在宅における生活機能向上を図る観点から、訪問リハビリテーション実施時に訪問介護事業所のサービス提供責任者とリハビリテーション専門職が、同時に利用者宅を訪問し、両者の共同による訪問介護計画を作成することに評価を行う。」として、新規に月３００単位が加算されます。訪問リハビリテーション事業所側は、３ヶ月に１回を限度として算定できます。訪問介護には月１００単位が加算されます。
算定要件として、訪問介護側は、訪問介護サービス提供責任者が訪問リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問リハビリテーションに同行し、共同して行ったアセスメント結果に基づき訪問介護計画を作成していること、連携した訪問介護計画に基づくサービス提供を行っていること、当該計画に基づく初回の訪問介護が行われた日から３ヶ月間算定できるとされています。
２）生活行為向上マネジメントの活用と生活機能向上連携加算
実際の生活の場面で、作業療法士がすべての生活行為に関わることは不可能です。
では、作業療法士がいないときには、したい作業の実現にむけての取り組みはできないのでしょうか。
生活行為向上マネジメントを行うことで、利用者本人のしたい作業を実現するための、利用者本人と訪問介護サービス提供者の役割を明確化することができ、作業療法士が関われない時間でも、生活行為の向上にむけた取り組みがきるようにしていきます。この取り組みは生活機能向上連携加算の対象になりうると思いますし、訪問リハビリテーションの現場で、ぜひ活用していただきたいと思います。 - この生活行為向上マネジメントは、知識として学んだだけでは、何にもならないと思います。臨床で実践を積み重ねることで、事例も蓄積することができ、作業療法士としての技能が深まることを願っています。広島県作業療法士会では、大規模研修と実践事例を持ち寄る小規模研修の２段階の研修を組み、皆さんの実践の促進となるものを提供していく予定ですので、ぜひご参加ください。
文責 望月 マリ子
- 引用文献：岩瀬義昭 大庭潤平 村井千賀 吉川ひろみ編
“作業”の捉え方と評価・支援技術～生活行為の自律に向けたマネジメント～
医歯薬出版、2011．
＜関連URL紹介＞
■生活行為向上マネジメント一式 （日本作業療法士協会HPより）
＜関連図書紹介＞
■“作業”の捉え方と評価・支援技術
―生活行為の自律に向けたマネジメント
日本作業療法士協会 (著), 岩瀬 義昭 (編集), 村井 千賀 (編集), 吉川 ひろみ (編集), 大庭 潤平 (編集)
■事例で学ぶ生活行為向上マネジメント 単行本
日本作業療法士協会 (著)
- ■生活行為向上マネジメント その２ （会報182号より）
■生活行為向上マネジメント その３ （会報183号より）
■生活行為向上マネジメント その４ （会報184号より）
■生活行為向上マネジメント その５ （会報185号より）
■生活行為向上マネジメント その６ （会報186号より）
■生活行為向上マネジメント 最終回 （会報187号より）
