会長挨拶
みなさん、こんにちは。一般社団法人 広島県作業療法士会(以下当会と記載)のホームページへようこそ。
会長を務めます高木 節(たかき いさお)です。この度、当会のホームページのリニューアルに合わせて、会長に就任した時からずっと更新していなかった会長挨拶を更新する事にしました。
さて、現在当会には約1200人の作業療法士が登録しており、病院・診療所、介護保険関連施設や事業所、肢体不自由児施設・重度心身障害児(者)施設や特別支援学校、行政機関、養成校などの様々な所で活躍しています。特に最近では日本の人口動態が極端な高齢化への移行している事を受け、介護保険サービスに関連する職場で働く作業療法士が急増しています。この状況はしばらく継続すると思われますので、今後も多くの作業療法士が必要とされる事が推測されます。
当会としても、作業療法士の資質向上を図る事により、県民の皆さんの保健・医療・福祉の充実及び向上に寄与してゆきたいと思います。
私たち作業療法士(Occupational Therapist=OT)は、「作業」を利用して、生活をより良い健康な状態に導く職業です。
ものの本にはこう書いてあるとは思うのですが、私自身の感想としては、自分の職業でありながらこの意味の分かりにくい名称にがっかりしています。私自身も作業療法士として働いて 20年近くになりますが、手芸や手作業の先生・レクリエーションの指導員と混同されてしまった事が何度かあります。
しかし、私たちの言うところの作業(ccupation)の意味する事とは、
手芸や手作業などの狭い意味での「作業」とはまったく異なります。
私たちが利用する作業とは、対象となる人が生活の中で「したい事」・「しなければならないと考えている事」を指します。
作業療法士は、その作業を利用して体や心に不自由を感じている方の治療に利用します。
対象者が子供ならば「あそび」を利用して訓練をします。
「あそび」の中の関節の動きや使う力、バランス、集中力や持久力など様々な要素を利用して回復を図ります。
働き盛りのお父さんなら「仕事」になるかもしれません。
大工さんなら釘を打ったり、のこぎりを挽いたり、木を運ぶかもしれません。
営業なら、車の運転技術や計算、書字などになるかもしれませんし、
家族を支える給料を稼ぐ為に、仕事の獲得そのものになるかもしれません。
お母さんなら「家事」なるでしょう。
食事の準備や掃除、洗濯やお買いものかもしれません。
最初から目的の作業ができなければ、段階を踏みながら出来る事を増やしていくことになるでしょう。
お年寄りなら、安心して自分の家で家族と暮らせることが目的になり、
「日常の生活」をきちんとできる事が作業になるでしょう。
この様に作業療法士が提供する「作業」は、対象になる人によって様々に変化します。
それぞれが自分のしたい事ですから、やる気も湧きやすく出来た時の達成感もあります。
端的に言うと作業療法士は、対象となる人やご家族の「心」と「体」を的確に把握して、
その人が求める生活に戻れる「作業」を提供できるように努力していく職業となるのかもしれません。
永い文章になりましたが、当会の会長として、多くの方に正しく作業療法士が知っていただけるよう広報活動に力を注ぐとともに、県民の皆さんの様々な要望に答えられる作業療法士の育成と資質向上に努めてゆきたいと思います。
広島県作業療法士会 会長
高木 節
2012年1月 吉日